朝から緊張していて、ものすごく気がたっている。心無しか体温が高い。
 キャメロンはとてもナイーブな子なので、できるだけ親しみやすい服装を
 していこう!と決意。‘アメリカといったらリーバイス’という短絡的な
 発想からジーンズをはき出社。

 午後はずっと、誰もこない仮眠室で、歌を教えるのに使う教材を作っていた。
 先日のオーディションの歌を聞くと、全音の音程はうまく歌えるのに
 半音の音程がきちんと歌えていなかった。だから、半音をだす時に
 鼻にかかる感じをわかってもらおうと、ちまちま作ってみた。
 作りながらも、彼とのレッスンを想像して緊張して手足が冷たくなる。
 私って音楽の先生にならなくてよかったなぁ、とつくづく思う。
 たったひとりに教えるだけでもこんなに緊張するんだもの。

 ところが!約束の18.00をすぎても彼はなかなかやってこない。
 しばらくして連絡があって、風邪のため今日の練習は、なし!ということになる。
 ひょろひょろと体の力がぬけてゆく。
 あ〜あ。


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