ジャスミンは想像していたよりもちっちゃくて、お人形のようにかわいい。
 みた感じは4才とか5才ぐらい。こんな小さな子があんなに上手に歌を歌えるなんて!
 みんなで「できることなら、家にもって帰りたい〜!」ときゃーきゃーしてしまう。  

 お母さんが見える場所にいないと不安になるというので、付き添いできた
 お母さんと一緒に、レコーディングブースへはいってもらう。
 スピーカーから流れてくる歌声にとにかく聞きほれてしまう。

 キャメロン君はお兄さん(高校生)と登場。
 かなり緊張している様子。
 声が、かすれてなかなか思うように歌えないようで、どんどん落ちこんでゆくのが
 見ていてよくわかる。
 お兄さんが時々英語で歌のアドバイスをしている。

 私がキャメロンに「今日は風邪ひいてるの?」と聞いたら「うん」という。
 それが私とキャメロンの交した初めての言葉だった。

 現実は厳しい!
 レコーディングスタッフが「お兄さんにも歌ってもらおう」といいだした。
 もしかしたら、お兄さん(変声済み)とジャスミンのデュエットのほうが
 うまくゆくかもしれない、という考えがあったからだ。
 お兄さんも初めからそういうつもりで、歌を練習してきてくれていた。 
 確かに歌が上手で、声質はまるでやさしい王子様のようなソフトな雰囲気。
 これはこれで素晴しいと思う。
 キャメロン君はそれを聞きながら、もう、負けを悟ったかのように落ち込んでいる。

 でも私は、お兄さんは確かにルックスも声も素晴しいけど、イメージにはあわない
 絶対キャメロン君をなんとかしなきゃ、と思った。

 ふたりが帰った後、それぞれのデュエットを聞いて見たけど、
 お兄さんとジャスミンのデュエットは「パパと女の子」って感じで
 皆一致で「不可」となった。


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