第13回
PS2版『NiGHTS』ディレクター 李舒僑(Li ShuQiao)
(セガスタジオCHINA)

 「ナイツって、まさかあの空を飛ぶナイツかな」そう思いながら、PS2ナイツプロジェクトの初めてのミーティングに参加することになりました。部長の内田から自分にこのプロジェクトの企画をしてもらいたいと聞いた時に正直、何故かよくわからなかったですが、興奮してしまいました。

 ナイツの発売時期にゲームのやり込みはやっていなかったのですが、音楽が非常に名作であることは覚えていて、発売後の数年間、わざわざサントラを探し出して聴くことがよくありました。今回は自分自身でナイツの開発に参加するのは本当に嬉しかったです。

 しかし ナイツの開発過程は思ったのと違ってそう簡単ではありませんでした。アセンブラを解析するのに苦労したプログラマー達、グラフィックの再現を悩んでいたデザイナー達。技術面と同じく、企画のほうも大変でした。それについて皆様と一緒に分かち合いましょう。

 まずはジャックルステージですね。トランプの絵柄で組み合わせた地面が面白いでしょう。
それを再現するのはかなり難しかったです。元の"ソース"(ソースプログラム。ソフトの設計図のようなもの)が不完全なので、サターン版の実際の画面を見ながら、その絵柄の方向と角度をそのままコピーするしかなかったです。さらにゲームのカメラは自由に動かせないため、全角度から地面の様子を見ることができません。そういう状況で企画の方はスクリーンショット約100枚を撮って、それを参照しながらやっと組み合わせました。

 もう一例挙げますと、クリスマスモードのアイテム配置です。開発の途中段階にクリスマスナイツも追加することになりました。それもソースなしの状況で!

「え?テクスチャはどうしよう?エリオットステージのアイテム配置は?」
まず私が思ったのはこれでした。最初は、テキストでアイテムの属性と座標を編集するという形で進んでいましたが、なかなか難航しましたね。効率的にも非常に悪いし、最終的に画面を確認した時、オリジナルと比べてアイテムの位置も全然似ていません。「このままではきっとユーザーたちに突っ込まれますよ」とギミック担当のプログラマーと相談して、実機で配置できるツールを作ってもらいました。そうした経緯で今回のクリスマスステージのアイテムはほぼ企画の手作業で配置されたものです。皆様ぜひお楽しみくださいね。

 今回のリメイク作業で企画にとって一番難しいのはやはりA-lifeですね。もともと人工生命というコンセプトで作られたナイトピアンはまるで自分の考えを持つ可愛い子どもです。そのシステムの再現と確認は企画の方で非常に長い時間のプレイが必要でした。その過程で私もいつしかA-lifeにハマってしまいました。これは本当に面白いです。当時の開発者もすごいと思います。

 PS2のナイツの開発は楽ではなかったですが、楽しかったです。私にとっても非常にいい思い出になると思います。ナイツはずっと皆様の夢にいると同じように、ナイツはいつも私の心にいるのです。