第12回
PS2版『NiGHTS』ディレクター 高橋 和也
(セガスタジオCHINA)

 「ナイツの○○○って、実は
ゲーム中とムービーでは違うよね?!」

 そんな発見から、私の「NiGHTS」リメイク
プロジェクトはスタートしました。この後すぐにSS版のメインプランナーである飯塚Pに
この真偽を確かめるべく、アメリカへ確認のメールを出したのを覚えています。

 思えば「NiGHTS」のリメイク作業は、数々の発見とそれにともなう苦労の連続でした。過去のゲームの“リメイク”と聞くと、みなさんは「プログラム部分をPS2用に書き換えて、あとは絵をキレイにするだけでしょ?」と思うかもしれません。ですが、実際はそう簡単ではありません。

 まずプログラムについて、SS版の開発当時はアセンブラという複雑な言語が使われていたため、PS2用にそれを翻訳することは容易ではありません。
(というか、普通に考えればほぼ不可能に近い作業です。今回は奇跡だったと思います…)

 またデザインデータも、当時のバックアップからそのまま拾ってくれば良いというものではなく、専用のコンバータを専用に開発して、なんとかPS2用に使えるようになった、という感じです。(しかもクリスマスナイツには、残念ながらバックアップそのものが残っていませんでしたので、全て新規に起こしました)

 その上で今度は、気が遠くなるほどオリジナル版をプレイして、再現漏れがないか、逐一チェックしていきます。
 そうして見つけた発見で、ときには驚き、ときには笑い、ときには
「ゲ〜〜、こんなの気づかないッスよ」とションボリしてみたり…
 例えば、ナイトピアンコレクションの画面では

1ドリーム中の全ピアンの好感度をMAXにすると特別な歌を聴くことが出来るのですが、これはクリスマスナイツのバックアップが無かったので見つけるのにかなり苦労しました。
 もちろん、この要素はPS2版にもきちんと実装していますのでご安心を!

 

 他にも、たくさん発見がありました。

 ・各ステージのあちこちに「TWIN SEEDS」と書かれた
  街のシンボルマークがあること

 ・パフィー面のお風呂場には「便器(洋式)」があること
  (実はユニットバス!?)

 ・パフィーを「残りタイム××秒」で倒すと、隠し扉が開くこと

 ・ピアンには遺伝情報によって、行動が変化すること
  数世代に渡って変化するため、すべての行動を見るのは
  スーパーピアンの誕生以上に難しいこと

 などなど

 「NiGHTS」はすごいソフトだなぁと思いつつ、こんなにたくさんの要素を詰め込んだSS版スタッフをちょっと恨めしく思ったこともありました。
 でも、このような細やかな部分までの作り込みもあったからこそ、「NiGHTS」は発売から10年以上経ってもファンに愛され続ける作品になったのだと思います。

 そんな「NiGHTS」を初めてリメイクした今回のPS2版、ユーザーの皆さんも、ぜひ末永く遊んでいただければと思います。

 

※冒頭の○○○に入るのは、「袖の色」。
PS2版とSS版では、ゲーム中のナイツの袖の「黄色」と「紫色」が
逆になっています。当時は発売するまで気付かなかったのだとか。
(BRAND NEW DREAMでは、ムービーのデザインに合わせています)
興味がある方はチェックしてみてください。