第7回
セガサターン版『NiGHTS』サウンドコンポーズ&アレンジ ササキ トモコ
(現・東京ハイジ)

こんにちわ。
音楽担当のササキトモコです。

最初のナイツについて、
思う存分語ってくれといわれたのですが、
もう語り尽くしちゃってるんですよね。
というわけで、少し話はずれていますが、
私なりにナイツを語ってみたいと思います。

ある時、新作発表会があったんです。
あれはどこかのホテルだったと思います。
プレス向けの会で、
そこでナイツの制作も発表されたのですが、
ワープの飯野賢治さんが会場に来ていたんです。

ワープは「エネミーゼロ」の音楽に
マイケル・ナイマンを起用するというので、
私は当時、とても興味を持っていたのです。

マイケル・ナイマンという人は、
私のイメージではゲームとは遠いところにいて、
孤高の芸術家だと思っていたので、
そんな人をゲーム畑に連れてきた飯野さんって、
すごいな!と思っていたのでした。

小心者の私が、千年に一度の行動力を発揮して、
自ら、飯野さんに話しかけにいったわけです。
どういう会話をしたかは覚えていないんですけど、
ナイツの音楽を褒めてもらったことは覚えています。

その後も、飯野さんは雑誌などで、
機会あるごとにほめてくれたので、
私の名前がなんとなーく世間に広まったのは、
飯野さんのおかげに他ならないんです。

飯野さんがゲーム業界にいる間は、
ゲームショーで一緒にステージをやったりして、
不思議な交友関係を結んでいました。
私って時々、身分不相応の友達ができるんです。
飯野さんは会社の社長だし、秘書もいるし、
話はいつもロマンがあって、行動力も半端なくて、
つまり、私とは住む世界が違う人でした。

でも本当はこういう人なんですよね。
世界に新しい風を吹き込む人は。
これをカリスマ、っていうんですよね。

飯野さんは、私が風邪をこじらせて休職していた時に、
たくさんのプレゼントと、
坂本龍一さんから私へ宛てた
はげましのメールまで届けてくれました。
あまりの光栄に、病気のくせに、
部屋中を走りまわった思い出があります。
はげまし方ひとつとっても、スケールが違うんです。

飯野さんは、ずっと前に
ゲーム業界を離れてしまいましたけど、
ひとつのところに留まらない身軽さもまた、
素敵だと思います。

こうしてナイツは私の代表作となりました。
「ルーマニアのササキです」と言っても
誰も感心してくれませんが(悲)、
「ナイツのササキです」と言うと
ほとんどの人がわかってくれるという…、
ほんとにナイツはすごい作品です。