それまでのボクの仕事といったら、
シリーズものやアーケードタイトルの移植が主だったので、
オリジナル作品の制作で、しかもセガの豪華クリエイターと共に!
…なんていう仕事はやったことがありませんでした。
それなのに、当時サウンドのボスだった牧野さんから、
ナイツをササキさんと担当せよといわれた時は、
そんな大きな仕事がボクに出来るのだろうかと、
ずいぶん緊張したものです。
サウンドプロデューサーの牧野さんの采配は見事だったと思います。
テーマ曲を2つのバリエーションでササキさんが作り
その原石を元にオーケストラバージョン、ボーカルバージョンへと
アレンジしてゆくことから作業ははじまりました。
しかし当初は、その曲達を、どこで使うかは未定だったのです。
それなのに、この曲にお金やら手間やらすべてを注いで、
先攻して仕上げてしまうやり方は、
先のことに責任を持たなければなか なかできない技です。
ボクは同時に同テーマの社長プレゼン用(ゲーム中に適したバージョン)
を作ります。それが後の「Message From Nightopia」になりました。
この3つのバリエーションで、
世界やストーリー、そして空を飛ぶ爽快感が表現された
ナイツサウンドの骨格が出来上がりました。
ナイツのサウンドのアピールポイントは二つあり、
ひとつは「生きたBGMシステム」
もうひとつは「バリエーション豊かな音楽で夢の世界を演出する」ことでした。
この2つはパブリシティチームとの連携をとって、
ナイツのゲーム紹介時には、毎回、売り文句にしてもらいました。
レコード会社との連携もとり、ゲームショーでの
初お披露目に合わせ主題歌シングルCD(ショートバージョン)の無料配布なども実現できました。こうして、サウンドへの注目も発売前から盛り上がっていったのです。
ボクは、チームワークというものは、同じ方向をみんながめざすことだと思っています。
ナイツでは、それぞれが役割を自覚し、
連携をとって作れたということが大きかったのではないかと思います。
ムービーシーンの音入れのプレゼンの際に
中さんと、当時ムービーチームだった宮部さん
(後のスペースチャンネル5うららの産みの親)が、
ササキさんの席で絵と合わさった音を初めて聞いた時に
涙ぐんでいた姿が忘れられません。
開発後期だったので、プロジェクトの終わりと物語の終わりが
頭の中でシンクロしたんだと思います。
あぁ…
なんか
青春…。
そう、そして青春は
11年たった今も続いているのです。
そんな思いで作られ、今回生まれ変わった
『NiGHTS into dreams...』PS2版
どうぞ、よろしくおねがいします。
もちろん「星降る夜の物語」のほうも!